身代わりの姫
それから、早朝の魚の仕分けを手伝い、小さな学校で先生の補助でビアノを弾いたり、隣町の病院で絵本を読んだりする奉仕作業をして過ごした。
漁業の手伝いだけは、給料をもらった。
時には、友達になったエドやジョー、リラ、カルール達と食事にも行った。
活動の中で辛いこともあった。
心から笑えることもあった。
ただ、素の私で過ごした。
そんな日々が1年続いた。
ある日、病院に行くと看護の女性が
「昨日、ジルベール王太子が視察に来たのよ?
かっこ良くて優しくて、感動したわ」
と、楽しそうに教えてくれた。
こんな辺鄙な町に?ジルが?
驚きを隠して相槌を打ち、子供たちのところへ行った。
「サリ?昨日来れば良かったのに。王太子様が来たんだよ?
俺、肩車してもらった」
俺も、私は………とジルやガストンらしい人の話を、聞いた。