身代わりの姫


 この部屋は王家の人が生活をする後宮の中にあり、後宮というのは、決められた侍女や、兵士しか入れないフロアだということ、私が王宮に来るときは、さっき通った道を通る事、王女の公務で危険な場所に行くときは影武者が行くこと。
他国の会談や式典には変装してそばで守る事を説明された。


その後、リリアを除く王家の人は私を軽く抱きしめてから、自室へと戻られたらしい。


レオと3人になるとリリアが言った。


「本当の妹だったのね。
驚いたけど、嬉しいわ。これからずっと、よろしくね」


「こちらこそ」

頭を下げた。

姉妹だとしても、今は身分が違いすぎる。


そこに、女性が入って来た。



頭を下げると、顔を上げてください、そう聞こえた。


「私は王妃の侍女で、女官長のマアサですわ。

アリア、大きくなられましたね」

大きな薄い茶色の目が、じっと私を見ていたが、切り替えたようにキビキビと言った。


「明日からここに通って頂きます。
王宮のこと、リリア様のこと、色々と学んで頂きます。

そのうち、公務に随行してもらうこともありますが、しばらくは、勉強ですわね。

剣の腕もかなりのものと聞いております。

頼もしいわ。よろしくお願いしますね」



分かりました、と頭を下げるとレオが


「そろそろ、いいですか?」

と聞いた。

そうですね、とマアサが本棚を横に押した。

すると、入り口が開けて、さっきの兵士が現れた。


「では、明日9時にはここへ。

おやすみなさい」



マアサとリリアに見送られて、狭い階段を降り始めた。




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