身代わりの姫
階段を降りながら、兵士が話しかけてきた。
「私は王の護衛隊のブノアです。
父は王の側近で、あなたが姫の影武者だと存じております。
あなたの王宮教育に就かせていただきます。
よろしくお願いします」
「そうでしたか。こちらこそよろしくお願いします、ブノア」
この階段も覚えることの1つか、と王宮に多くの謎がありそうで先が思いやられた。
王太子の護衛隊にはシリルがいるはず、と思ったが、影の私は、アリアだと王宮で名乗れないことに気が付いた。
シリルには、私が分かるのだろうか?
分かっても、会ったとしても、他人、なのだ。