身代わりの姫


「お久しぶりね」

2人になって、声をかけた。


「ほんとに………」

じっと私の顔を見る目は、真剣だった。


「あなたは……レオナ、でしょ?」


久しぶりに、レオナ、と呼ばれて、王宮で過ごした日を思い出した。


「………何か、聞いたの?」

「いいえ、私は、分かっていたのよ。

侍女にしては、王女の近くにいることが多くて、時折いなくなる。

身代わりとしてここに嫁いだの?」


「そうであって、そうでないわ。

詳しくは、まだ話せないけど…………。


そう、私は、あなたと一緒に王女に仕えていたレオナだわ。
騙したわけじゃないのよ」


苦笑いで認めた。




< 224 / 279 >

この作品をシェア

pagetop