身代わりの姫


大きくため息をついたコゼットが呆れたように言った。

「それをあなたが聞くのね………

ずっと東の館にいましたよ。

気落ちした王太子に、シュリベルトでのあなたのことを聞かれたり、愚痴をきいたり、八つ当たりされたりしたのよ。

シュリベルトでは病院での慰問を楽しんでいたから、行ってみるように勧めたり。


で、今日は、あなたがここから離れやすいきっかけを作る為に来たのよ。

故郷から探しに来た女の子なら、みんな良かったって思うだろうって。


王太子が行くとややこしいのに、行くって言い出したから、困るのよ。

早く帰って来てくださいな」


あ、またワガママを言ったのだろう、と思ってちょっと笑った。



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