身代わりの姫


「ここよ」

使わせてもらっている部屋のドアを開けた。


「ちょっと………狭いけど、きれいにしてるのですね」


そう言って、バッグの中をゴソゴソして、何かを出した。

「これ………預かって来ました」

封がされた封筒。

受け取ると、中に小さな硬いものがあることが分かった。


「これは?」

「さあ、わかりません。

渡してほしいと、バルテモン国王から………中は、一人で見てほしいと………」


「そうですか」

自分のバッグに入れて、それを肩にかけた。


「じゃあ、行きましょう」



午後の町を2人で歩き始めた。




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