身代わりの姫


礼拝の後、家路につく前のいろんな人に声をかけられた。


最後に4人が残った時、コラが言った。


「勝手に話してしまいましたが、こうでもしないと離れられないでしょ?
あなたにはきっと、しなければならない事が故郷で待っていますよ」

「いえ、ありがとうございます」


お別れを言いにくい私の代わりに、言ってくれたと思った。


「私は今日、故郷に先に戻ります。迎えにくるわね、サリ」

頷くと、用意をしなくちゃ、と客間に戻って行った。





昼過ぎ、旅支度を整えたコゼットが玄関に立った。


「お世話になりました。
コラ、デジレ、楽しかったわ。
サリをあと少し、よろしくお願いします」


「こちらこそありがとう、サリは後2週間、預かりますね。気をつけて」

コラが言うと、デジレも、ありがとう、とコゼットを抱きしめた。



私は、町のはずれまで送っていくため、一緒に教会を出た。




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