身代わりの姫
週が明けても町のみんなは、故郷に帰る私にいつもと変わらず接してくれた。
そして、この町に立ち寄る、旅人や行商人が少し増えた。
様々な物を、たくさん買っていく。
珍しい物を安く置いて行く。
それが、城の者だと、私は気付いていたが、話しかけることはなく、通りすがりに挨拶をする程度だった。
ある日、行商の周りにリラ達若い女の子が群がっていた。
「サリ!見て行ったら?綺麗なものがたくさんあるのよ?」
行商と目が合うと、驚いた顔になったが商売人の顔で、お安くしますよ、と声をかけてきた。
仕方なく、商品を見ると、アクセサリーが並んでいた。
「ね?綺麗でしょ?これなんかどうかなぁ?」
リラが華やかな金のネックレスを首に当てた。
「結婚式にも良いんじゃない?似合うわよ」
笑顔のリラが
「パーティに良いわよね」
とすっかり買う様子だった。
「ご結婚ですか?では、これもサービスしますよ」
とおそろいのブレスレットを出していた。
じゃあ、とリラが買うと、他の2人もイヤリングやネックレスを買っていた。
「サリは?買わないの?」
「ん、今はいいかな……キレイだけど………見せてもらったのに、ごめんなさいね」
「いえ」
と頭を下げた行商に、クスッと笑って離れようとした時、これを、と紙を握らされた。
苦笑いで行商を見て、頷いた。