身代わりの姫


「いや、分かっていたんだ。

この町の中に、溶け込んでいるようで、どこか違う。


でも、この町で一緒に暮らしてほしい。

俺と一緒に………」


思いがけない告白に、どうしていいか分からない。


でも、私は、ここにいられない。



「ごめんなさい、私はここにはもういられないのよ。

でも、ありがとう。

楽しい日々が送れたのは、あなたのおかけでもあるのよ。


きっと、あなたも幸せになれる相手がいるはず。
それは、私ではないわ」



彼の幸せを心から願いながら言った。



「ああ、分かってるんだ。

多分、サリには決まった人がいるんだろう」


「一途じゃなくなってるかもしれないけどね……」


プッとエドが笑った。


「大丈夫だろ、きっと。でないとコゼットさんが来るわけないだろ?」


「そう思うの?」


「ああ、なんとなく分かる」



「フフフ、なんかよくわからないけど、エドが言うなら、そうかもしれないわね」



教会の前で、おやすみなさい、と別れた。




< 239 / 279 >

この作品をシェア

pagetop