身代わりの姫
王宮に行くようになって1ヶ月が過ぎた。
夏の暑さが本格的になってきている。
「週が明けたら、あなたは王女の側に付いてもらう機会が増えます。
また、視察などは、あなたに行って頂きます。
振る舞いは大丈夫でしょう。
でも、侍女や兵士のように、休日以外は王宮に控えているわけではありません。
王女の予定がない時は、自由に王宮から離れることもできます。
それでも、何日も王宮にいることもあるでしょう。
そのため王とも相談して、あなたの部屋を用意しました。
こちらへ」
本棚のドアを開けて、1階分の階段を降りてすぐの、通路を曲がると、マアサが木戸の鍵を開けて部屋が、現れた。
シンプルだが、ドレスや侍女の服など何着かの服が入ったクローゼットやドレッサー、ベッド、チェスト、小さな机に椅子があった。小さいがバスルームと洗面所もある。窓からは森が見える。
王宮内に続くドアを開けると後宮の下の階の侍女の部屋の並びの1番奥になっているようだった。
「この部屋は、この上の姫の部屋からの呼び鈴があります。
それが鳴ったら駆けつけるように。
この部屋は好きに使ってもらって構いません。
そこのドアの鍵です。
来週から姫の誕生日パーティーまでは泊まっていただきます。
今後の為にも姫に付き添いなさい。
貴女に期待していますよ」
最近習った、王女スマイルで返すと、ホホッと笑って、合格です、と言った。
「では、行きましょう。王が待っていますよ」
非常階段から、応接室に向かい、部屋に入ると王家の全員が揃っていた。