身代わりの姫
翌朝、いつもより早く目が覚めて、下に降りるとコラがお茶を飲んでいた。
「おはようございます」
「おはよう、サリ」
立ち上がり、お茶をいれてくれた。
「あなたが来てくれて、楽しい3年でした。
あなたがこれから歩む道は、ここで過ごした経験をふまえてくれると、嬉しく思います」
コラは私が王太子妃だと、知っている………?
「私が………」
「サリ、あなたの事は、何も話さなくて良いのよ。
あなたは自分で考え、行動したことで、町の人々もあなたのことを受け入れたのです。
ここは裕福ではないけれど、温暖で優しい人が多い町です。
他にも色んな町があることを、これからも知ることがあるでしょう。
小さな町にもたくさんの人が懸命に生きていることを忘れないでください」
はい、とコラの目を見て答えた。
その時、ドアがカチャっと開いた。