身代わりの姫
誰もいなくなった教会から外に出ると、エドがいた。
「昼に出発と聞いた。みんなで見送りに行くつもりだ。
これからも、元気で頑張れよ。
それから、これ………荷物になる物は迷惑かもしれないが……」
そう言って、両手のひらに乗る大きさの、箱を渡された。
「ありがとう、開けてもいい?」
頷いたエドの前で箱を開けた。
キレイな夕日と港を描いた水彩画だった。
「キレイ………これって?」
「一応、俺が描いたんだ。この町の風景だな。
要らなかったら捨てても構わない」
「ううん、ありがとう。嬉しいわ」
「なら良かった、じゃあ、な」
照れたような笑みで、エドは去っていった。