身代わりの姫
翌日、養成所で久しぶりに剣を振り、体を思い切り動かしてから、馬で、池とは反対側にある、温泉に行った。
一人で温泉に浸かり、栗色の髪を梳かした。
温泉から出ると、男性用の湯殿から出てきた誰かに声をかけられた。
「アリア?」
「……シリル……?」
思わず、抱きついた。
「帰ってたの?」
「今日は休暇で、午前中に帰ってた。やっぱり温泉はいいな」
「そうよね。
ね、ちょっと、走る?」
馬に乗って二人で池の畔まで来た。
手を繋いで小屋に入ると、グッと抱き寄せられた。
しばらく会わない間に、少し男らしくなったその胸に強く抱きしめられたのは、心地良かった。