身代わりの姫
「サリ、私らはここでお別れだよ。その馬車で行ったらいい。
また、どこかで会うこともあるかもね」
「ルアナ、皆さん、ありがとう……」
そう言ったとき、何かが腕の横をかすめるように通り過ぎた。
よく見ると、乗ってきた馬車の荷台の横の部分に矢が刺さっていた。
「ルアナ、行け!急げ」
ガストンの大きな声に、あいよ、と一座の馬や馬車が走り出した。
「コゼット、隠れて!」
もう一本飛んできた矢を払いながら叫んで、コゼットを道の横の茂みの方へ思い切り押した。