身代わりの姫
「サリ!」
振り返るとジルが怒ったような顔で走ってきてそのままきつく抱きしめられた。
「なんだってあんな無茶に戦った?怪我でもしたらどうするんだ?」
「ジル、私は大丈夫なのよ、コゼットとガストンは?」
「あの二人は大丈夫だ。もう1人紛れていた兵士が知らせてくれた。
捕らえた者達は馬車に繋げ、1人、城へ知らせろ」
「はっ」
ジルの胸の中で兵士への司令を聞きながら、安心していた。
「離してよ、怪我も何も無いわ」
抱きしめられた腕は離してくれたが、腰に腕を回したまま、隣りからは逃れられなかった。
「サリ様、お怪我は?」
「大丈夫よ、ごめんなさいね、乱暴に押してしまって」
コゼットが心配そうにしていた。
男たちを確認していたガストンが来て言った。
「あの男達の一人は一座に紛れてついてきたようです。
それにしても、妃殿下はお強い………驚きました」
「いえ、火事場のバカ力ですわ………あ、これを、ありがとう」
ガストンのもう一本の剣を返した。
男たちは全員縛られて馬車に乗せられて近くの駐屯地から駆けつけた兵士達が連れて行った。