身代わりの姫
それから、ジルの乗った馬の後ろに乗り、王家の別荘まで行った。
別荘の玄関に着くと、コゼットが、
「やっと戻られるから、王太子に会う前にはキレイにしようと思ってましたのに、王太子は迎えに出てくるし、変な男に襲われるし。
全く、どう見ても王太子夫婦には見えませんわ。
では、お風呂も整っていますし、ここに着替えがあります。
夕食も作ってありますし、朝食は適当にどうぞ。
私たちは、明日の昼まで母屋の方におりますから、ごゆっくり」
私達と付いてきていた兵士たちの前で、大きな声で小言を言って、私達を別荘に押し込んでドアをバタンと閉めた。
すぐにまたドアが開き、ガストンが、鍵をかけてください、とだけ言ってまたドアが閉じられた。
あ、と思って鍵をかけると、フワリと抱きしめられた。
「お前は、この国の、いや、俺の、妃にふさわしい」
クスッと笑って、別荘の中に入った。