身代わりの姫


部屋の1つだけのベッドに座って、熱いキスを、する。


何も考えられない。


ガウンを羽織って紐で縛っただけのシリルの上着を脱がした。


「アリア?………泣いてる?」

今、やっと気付いた。

影武者になることは、もうシリルとはこんな時間を持つことが出来ない、と。



「……最後なのよ」


「任務が決まったのか?」


「まだ、言えないんだけどね……いつか、また会えたら………その時は……」

抱いてね……


「……分かった」


思い切って、服を、脱いだ。

「アリア?お前………?」


「初めての相手は、まだ分からないけど、私を、見て」


腕を引かれて、そのままベッドに押し倒された。



胸を触られ、全身にキスをされる。



シリルの指が胸から腹部へ、その下へと進んだ。


恥ずかしさで目を閉じた。

指を、感じた、と思ったが、離れた。


それが、どういうことか、分かった。


涙が、溢れた。



結ばれてはいけないこと。



「お前の気持ちは、分かったから………泣くな」


シリルに全身を抱きしめられて、シリルの熱いものも感じた。


その証を、手で触れた。


いつか………あなたと………





< 27 / 279 >

この作品をシェア

pagetop