身代わりの姫


春を迎え、暖かさに眠さを覚える季節。


病院を訪問中、フラッと倒れた。



たまたま王家の主治医のいる病院だったので、すぐに診察が行われた。



結果を聞いて、2時間ほど病院で休んだ。


「そろそろ起きても大丈夫でしょう、起き上がれますか?」


主治医とコゼットが手を貸してくれる。



ベッドに座ると、大丈夫、フラつきはないですわ、と答えた。


その時

「サリ!」

と、病室にジルが血相を変えて飛び込んできた。


「まあ、ジル、大丈夫よ、来てくれたの?」


「あたりまえだろ?もう帰れるのか?」


笑って頷くと、サッと抱え上げられた。


「ちょっと、大丈夫なのよ、歩けるわ」


驚いて見ていた主治医が微笑んで

「今日くらいは甘えなさい」

と言ったので、ため息をついて身を任せた。


「じゃあ、世話になったな。診断はまた聞きに来るから、コゼット行くぞ」


「はい」とコゼットが荷物を持ち、主治医に一礼すると、いや聞きに来ないで大丈夫、と主治医がボソッといっていたのが聞こえた。




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