身代わりの姫
秋に生まれた私達の子どもは、王女だった。
ジルの母である王妃にそっくりだった。
その2年後、ジルによく似た王子を授かった。
ジルは国の小さな町にも、物資や教育が行き届くよう改革を進め、国の発展をどこまでも広げようとした。
私達の王子が王太子になったのは、それから数年後。
ジルは民の幸せを願い、国を発展させることに、尽力した、慕われる王になった。
時に強引でわがままで甘えん坊で、そんなジルを私はこれからも愛していく。
リリア、あなたの影武者は、もう、できないわ。
公式訪問という名目の里帰りのため、家族でシュリベルトに向かう船の中で、リリアに供える花束を、抱きしめた。
《完》