身代わりの姫
同じように王妃の部屋、王族であるレオの部屋、大臣室を回り、広い会議室に行くと、今までより多い護衛隊がいた。
念のため、部屋を見回すと、誰かの視線を感じた。
間違いない、制服を着ている中でもその瞳は、シリルのものだった。
少し見たあと、視線を王太子に移した。
王太子が
「妹であるリリアだ。
こちら半分は私の護衛隊、あちらは王女付きの護衛隊だ」
そう言うと、リリアが話し始めた。
「本日より、公務を務めさせて頂きます。
いたらない点も、ご指導よろしくお願いします。
これは、私付きの侍女、レオナです」
頭を下げた。
「では、リリア、執務室に向かおうか」
王太子が優しくリリアの背中を押した。
その後ろを王太子とリリアの護衛隊長が続き、私が続く。
新設されたリリアの護衛隊が、続いて、王女の執務室に入った。
「では、パーティー当日は……」
打ち合わせが始まり、私は後宮へ戻るため、外に出た。
王太子の護衛隊が廊下に並んでいる。
向こうから歩いて来ている王妃が通り過ぎるのを待っているらしい。
護衛隊の横に同じように並ぶと、レオナ、と王妃の声がした。
顔を上げると、手招きされて近付いた。
「後宮に戻るのでしょ?行きましょう」
会釈をして、護衛隊の前を通り過ぎる。
シリルは、きっと分かったはずだった。
私は、王宮では、アリアではないこと。
内蔵がぞくっと、して、頭の奥が、クラっと回った。