身代わりの姫


パーティーを翌日に控えた日。


昼食のため後宮に戻ってきたリリアが、倒れた。


すぐに気が付き、大事には至らなかったが、過労だろうとのこと。
午後は、休むことになり、私には初めての、影武者としての仕事となった。


急いでヘアメイクを整えて、リリアのドレスを着た。




そこへ入って来た王と王妃が私を見て固まった。


「やっぱり、完璧だね。今日は、アリア、頼むぞ」


王太子の声に、我に返った王と王妃が、微笑んだ。



「では、行こうか」



今日は、夕方から王宮の侍女、護衛隊と謁見である。

明日はパーティーには来ても、業務に携わる人たちと、改めて顔を合わせる為の行事である。


私を影武者だとわかる人は、いるのか?

とは言え、リリアは今日まで大勢の前には出ていないはず。


侍女たちが違和感を感じるか。


公務の時には、親しい人にも、プリンセススマイルを振りまくよう、言われていたリリア。

まだ、知らない人ばかりの今日は、私にはやりやすいはずだった。





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