身代わりの姫
翌日、朝食を食べるとすぐに出かけるシリルを見送ってから、出かける準備をした。
「シリルは元気に頑張っているみたいね。
シリルのご両親は、以前の戦争で亡くなっていてね…………海の方で漁師をされていたそうよ。
うちの養子ではなく、私達はただの後見人、というか、身元保証人なの。
ご両親も喜ばれているでしょうね」
「そう………」
エルザがシリルの様子を思い出していたようで、彼の両親の話を初めて聞いて少し驚いた。
「アリア、大変な任務だけど、あなたらしく、あなたにしか出来ないことだと思って、頑張りなさい。
レオも私も、本当の娘だと思っているわ。
また、帰ってきなさいね」
エルザの言葉に、笑顔で頷いていた。
後宮の自室に着いて着替えたあと、シリルに貰ったキーホルダーをいつも持っている短剣の鞘に取り付けた。
世間知らずなだけで、本来、こういう使い方をするホルダーなのかもしれないと、気付いた。
剣などをチェックしていると、急に廊下が慌ただしくなった。