身代わりの姫
応接室では、軍務用の制服を着た王と王太子がいた。
一礼すると、王がソファーを指差して、座るよう促された。
「アリア、さっき、港が攻撃を受けた。
攻撃を受けた以上、兵士を動かさなくてはならん。
戦争は回避できるよう、動いてみるつもりだ」
王の言葉に、戦争?と呟くように言った。
「戦争は悲しみと憎しみを生む。
なるべくなら回避したい。
今、攻撃を受けた場所で被害の状況を確認している」
「なんとか、バルテモン国と話し合える状況を作り出したいと画策している。
何かあった場合、リリアの格好で外に出てほしい。
頼めるか、アリア?」
王太子が真剣な表情で言った。
私に拒否権はない。
「分かりました」
その時、ドアが、ノックされて、ブノアが部屋に入って敬礼してから話しだした。
「調査に行った者が、戻りました。
王宮の会議室へお願いします」
王が頷いて、王太子も立ち上がった。
「レオナは王女の部屋へ行き、このことを母と妹に知らせて、そのまま待機してなさい」
王太子に頷いて、一礼して部屋を出た。
それからの2日間はバルテモン国との腹の探り合いなのか、大きな攻撃もなく、水面下での話し合いがおこなわれていたようである。