身代わりの姫
翌朝、シンプルなワンピースに日除けとしてケープを来たが、その下には短剣を隠し、手には扇子を持った。
馬車には、王太子の護衛隊長が私達と一緒に乗り込み、他の護衛隊員は、馬で従っている。
港に着くと、バルテモン国の停泊している大きな船から、少し離れたところで馬車が止まった。
「ここにいて」
と言った王太子が護衛隊長に続いて降りて、私は馬車に残された。
バルテモン国の王太子と外に置かれていたテーブルで話をしているようだった。
内容は聞こえない。
顔を出して覗くわけにもいかない。
どうなっているのだろう。
じっと待っていると、時間が長く感じ、不安になる。
急に馬車の周りが、ざわつくと、馬車の扉が勢いよく開けられた。