身代わりの姫
相手国の船を目の前にして、出されたお茶を飲む。
たくさんの護衛隊や兵士に見守られて、全く味を感じなかった。
「ダリアン王子、あなたとは、友達になれるとおもいますよ。
隣国の王になるのですから、是非、友好関係を築きましょう」
元気で明るい話し方のジルベールは、元々パワーのある人なのだろう。
「そうですね、よろしくお願いします」
ダリアン王子は、穏やかに、それでいて相手を探るような返事をした。
それからもジルベールは、このお茶の特徴や、バルテモン国の天候の話など、明るく喋り、私とダリアン王子は相槌だけを繰り返した。
お茶を飲み終えると、ジルベールが立ち上がって
「王女をちょっとお借りしますよ」
え?と、思っているうちに、私の手を強引に引いて、歩き始めていた。