身代わりの姫

帰りの馬車の中は、誰も喋らなかった。


私は、さっき会ったジルベール王太子のことを、考えていた。


攻撃の理由?


まるでシュリベルトが悪いような言い方だった。

王女を見に来た?

どういう意味なのか?

リリアなら、耐えられただろうか?

影武者だとは思っていなかったと思う。



王宮で会うなら、リリアが対応するだろう。



私は、今日の役割は果たしたはず。


戦争にはならなかった。



 
それで、良かった。




シリルは、何を思っているだろう。


つい先日、何か起こるかもしれない、と言っていた。


何か知っていたのかもしれない。


何かがあって、攻撃されたが、堤防を少し、と言った。
脅しだったのか?

何らかの話し合いの中で、折衷案が出て、シュリベルト国が従った。
だから、興味があったリリアに会おうとしたのかもしれない。

でなければ、こんな場所に王女が出ていくだろうか?



とにかく、これからは、平和が続くのだろう。




そう考えているうちに、王宮に着いた。




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