身代わりの姫


王宮で、王と王妃に、会談が済んだことを報告し、後宮へ向った。


着替えて、しばらく自室にいると、王妃から呼び出され、上階の応接室に行った。


すでに王、王妃、王太子がいて、座ると王が口を開いた。


「ジルベール王子と二人になったそうだが、何を聞かれた?」

それを聞かれるだろうと思ったが、内密に、と言ったことまで言うべきか、迷った。


「船を見て、内部の話や揺れずに船旅が出来ると言う話でした。

それから………攻撃するなら国に軍艦がある、とおっしゃり、攻撃した理由は既に伝えてある、とも」


「それだけか?」

「………王女を見たかった……とも。それは内密に、とも言われたのですが………リリア様に興味をお持ちなのか、好奇心なのか、わかりませんでした」


苦笑いをして、言った。


「内密に………と言うほどの内容でもないな。
リリアに興味を持っている者は多い。

リリアは幸せな結婚をしてほしいが………」


溜め息混じりに言った王の言葉は親としての思いなのだろう。


「ジルベール王太子は、リリア様との結婚を望まれてる?」



思いついたように言った。



「具体的な話ではないが、そういうことだろう。
そうなったら、アリアは、どうしたい?」


王が、少し探るように聞いてきた。


「侍女として一緒に行くことは、構いませんが、簡単に影武者としては動けないかもしれません。
服装や化粧によっては、似ているのでそうなると少し込み入った状況になり、リリア様やこの国にご迷惑がかかるかもしれません。


身代わりに私が嫁げば、リリア様がこの国で生きづらくなるかもしれませんし………。


何がどうなるのか、想像つきませんわ」


ため息をついて、王が言った。


「ジルベール王太子の印象は?」


ジルベールを思い出して、言葉を選んだ。


「少し強引で元気な方のような気がします」


王と王太子がハハハ、と笑い、その通りだと言った。





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