身代わりの姫


「では、参りましょうか」

王妃の声で、王妃と王女の護衛隊長が先頭に立ち、広間に向った。


既にジルベール王子の向かいに王と、王太子が座り、穏やかな雰囲気だった。

ドアの横で立ち止まり、王妃と王女がジルベール王子の方に歩みを進めるのを見ていた。

王妃の手を取り、膝はつけずその手を、上げて何か挨拶をしているのが見える。

その手を離して、横に移動して王女の手にも同じ事をしていた。


ジルベール王子は、リリアと少し会話をしたようだが、手を離すと、周りにいる護衛隊を笑顔で見回して、私と一瞬、目が合うと王女に視線を移した。


何か、勘付いたのだろうか?



得体の知れない、恐怖を感じた。



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