身代わりの姫
夕刻になり、会食が始まった。
王家の護衛隊長と共に、部屋の隅で見守る。
食べる様子をみていても、ジルベール王子はしっかりと食事マナーを教えられていることがわかる。
それでも、リリアの様子が気になる。
少し疲れているようで、会食前から顔色がいつもより白くなっている。
一通り食事が終わった頃、王が、言った。
「ジルベール王子、リリアが少し疲れているようなので、失礼だが退席させても良いか?」
「かまいません。王女、大丈夫ですか?」
「………はい、ありがとうございます。
申し訳ありませんが、ここで失礼させて頂きます。
今日は、おいでいただいて、ありがとうございました。
ごきげんよう」
立ち上がって一礼すると、ジルベール王子がさっと立ち上がり、誰もが驚く中、王女のそばに来てエスコートした。
私の前まで来ると、王女が立ち止まり手を離して、ここまで、と言うように頭を下げた。
丁寧にお辞儀をするジルベール王子に私も王女の横で礼をして頭をあげたが、なんとなく視線を感じてその視線の方を見上げると、目が合った。
その視線を解いて、王女と共に、部屋を出た。