身代わりの姫


夜の来客ということで、レオが玄関に行ったが、すぐに強張った顔で戻ってきた。


「アリア、緊急事態だ。
しばらく王宮にいることになるだろう。

貴重品を持ってきなさい。

着替えなくていい、急ぎなさい」


長期間、王宮にいることになるほどの事態なのか?


頷いて、自室で手早く荷物を纏めて玄関ホールに行くと、驚いたことに、ブノアがこわばった顔で待っていた。

「何か……」

と言いかけたところで、レオが略装に着替えてやってきた。


「お迎えに参りました。どうぞ……」


何も言わず、エルザと抱き合ってレオと馬車に乗り込んだ。


何か、あったのだ。


何が、あったのか?





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