身代わりの姫


馬や剣を習って体を動かすことが出来たアリアは、ノビノビと育った。

リリアと王宮で一緒にいると、庭で遊ぼうと小さい時から誘ったのはアリアだった。


似てるけど性格が違う、と誰の目にも写った。


髪型や、服、立ち振舞、が全く違うことで、雰囲気が別人だった。

リリアは、かわいいドレスを着ていることが多く、髪型もふんわりとアップにして、どことなく落ち着いていた。

それに比べるとアリアは、王宮に行く時でもいつでも馬に乗れそうな動きやすい服で、髪型もクセ毛でフワフワした前髪とサイドの髪を残して、1つか2つにまとめるくらいの髪型だった。


謁見、と言うわけではないので、キレイな格好をしなくても叱られなかった。


それなのに、時折、王と王妃も来て庭でティタイムを持つこともあり、そのときだけは、礼儀正しくしていた。

王と王妃は、アリアにも優しく、作法や礼儀にこだわらす、笑顔で接してくれた。


ある時、大きなコガネムシがリリアの肩に留まり、キャア、と嫌がっていたが、あら、とアリアがその虫を取って空に飛ばしたのをみて、王と王妃は笑い出していた。


「アリアは優しいのね」


王妃の言葉に、いえ、と微笑んだが、お姫様って虫も嫌いなのか、と内心呆れていた。






< 8 / 279 >

この作品をシェア

pagetop