身代わりの姫



翌朝、王宮へ戻るとき、エルザに肩を抱かれて玄関まで行った、その少しふくよかな身体のぬくもりに心が温まった。


外に出ると、別れを惜しむ時間は短く、一瞬頬を合わせて馬車に乗り込んだ。


後宮の応接室までの抜け道の階段を、レオと一緒に上り、王と王妃に直接引き渡された。


背が高いレオに、抱きしめられて、涙が溢れた。


「レオ、エルザにも伝えて?

ありがとうって………元気でね」


ゆっくりレオから離れる時、額にキスをされた。



「幸せに………」


その言葉を聞いて、頷きながらレオから離れて、マアサとリリアの部屋に戻った。



  





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