身代わりの姫


それから数年が経った8月のある日。

その日はアリアの17歳の誕生日である。

家庭教師との勉強が終わり、厩舎に行くと、シリルが馬にブラシをかけていた。

「ね、馬と散歩しない?」

シリルを乗馬に誘った。

「行こうか。アリアの勉強は終わったのか?」

シリルはレオの養成所に5歳から住んでいて、アリアと同い年である。

幼いころから一緒にいるが、教育内容が段々と違ってきて、空いた時間しか、会うことは出来なかった。


シリルは、剣の使い手で、おそらく軍の幹部候補なのだろう。

いつの間にか、身長差が20センチほどになり、体格も大きくなった。眉がキリッとしていて、そのすぐ下の目は、少しタレ目だが、剣を持つと強い眼差しになる。
高い鼻に薄い唇。
明るい性格に、何故か信頼できる雰囲気。


アリアはシリルが好きだった。


幼いころから一緒にいて、それが当たり前で、2人でいても誰もが兄妹を見てるようだった。


シリルの気持ちは知らないけど、誰も冷やかしたりしないので、気楽に誘うことができていた。



< 9 / 279 >

この作品をシェア

pagetop