身代わりの姫


夜、後宮の応接室に呼ばれて行くと、王と王妃、王太子がいて、お茶を飲んでいた。

王太子の隣に座ると、マアサがお茶を私の前と、王妃の横の誰もいない席にも置いて出ていった。


「食事会は終わりましたの?」


そう聞くと、ええ、と、言った王妃が私を見て話し始めた。


「あなたが生まれたとき、手放すことが辛かった……。

リリアの、はとことして、時折遊びに来るあなたが庭で元気に遊んでいる姿に、よく笑っていました。

健やかで、明るいあなたのことをリリアも楽しそうに話してくれました。

影武者として来てくれた時、美しく健康に育ったあなたを見て、リリアのためではななく、私自身、嬉しかったのです。


リリアとして、バルテモン国に嫁がせることに、なるとは思ってもなかったわ」



私をじっと見ていた。




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