身代わりの姫
部屋に戻り、着替えたあと
「今日は、ゆっくりおやすみください」
マアサが言った。
「あなたにも、感謝しています。きっとリリアも………
本当にありがとう」
マアサを抱きしめた。
「畏れ多いですわ………あなたなら、幸せになれます。
幸せになろうと、してくださいね……」
はい、と呟いて、マアサから離れると、マアサは目元をハンカチで拭った。
「明日は朝から、式の準備ですわ。
持って行く荷物は、朝、私が受け取ります。
式の後は、国賓館ですから、お忘れ物が無いようにお願いします。
では、おやすみなさい」
一礼して出ていくマアサを見送って、私物として持っていくものを入れている小型のトランクを開け、さっき王たちから貰った物を入れた。
リリアが亡くなっても、悲しみふさぎ込む暇はなく、みんなそれぞれに、胸に秘めているのだろう。
でも、あなたがいたことは、誰も忘れていない。
リリアの席もあった。
ベッドに入っても、なかなか寝付けなかった。
明日からは、どうなるのか、運命に流されて行くように感じながら、眠りに落ちた。