身代わりの姫



翌朝、綺麗に晴れ渡った空が、結婚式を見守っているようだった。

朝食を部屋で済まし、シンプルなドレスに着替えた後、王宮のホールから玄関までたくさんの護衛隊、兵士、侍女、厨房の調理員が脇に並び、拍手や、お幸せに、と言う声の中を、王女の護衛隊、マアサ、バルテモン国に付いていくコゼットを従えて笑顔で歩いた。


その中にシリルを見つけ、無意識に一瞬だけ視線を交わした。

元気で……と思わずにはいられない。



あの時、将来の約束なんて、しなくて良かった。



立派な馬車にマアサとコゼットと護衛隊長と乗り込み、街から、南の山の方にある、大神殿へと向かう。


王家の冠婚葬祭の聖地だった。







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