身代わりの姫


神殿の西側の建物に入り、ドレスを着てベールを付け時間までマアサとコゼットとドレスを着せてくれる王家の衣装担当の数人と過ごす。



ドレスは上半身は、ノースリーブで絹独特の光る生地で体にフィットしている。
スカート部分は幾重にもレースが重ねられ、ドレープが華やかに入ったドレスである。

後ろの裾部分は床に2メートルほどのびている。

ティアラはリリアの物で、ベールの上につけられている。

最後に勲章を付けて、ベールを顔の前におろしてもらった。


家族もジルベール王子もここへは来ない。

先に神殿に入っている。


「王女、おキレイです…………あぁ、もう、時間ですわ」


私をじっと見つめ、ハンカチで目元を拭って一礼してから、マアサが先に神殿の前に行った。

その後からゆっくりと神殿の前に行く。


神殿は石でできている。

石の間に大きな木の扉があり、その前で既に待っている、父である国王と神殿の中の祭壇まで行き、ジルベール王子と祝福を受ける。



準備は整った。




神殿の前で、王と顔を見合わせて、微笑んだ。


背筋を伸ばして、王の腕を、とった。


神殿のドアが開く直前、耳元で、アリア……と聞こえた。








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