ただ、好きだって言えたなら
「はぁ~」




「どうしたの?ため息なんて。珍しく無いけど」




怒涛の入学式をおえ、癒されるのは陽斗との帰り道……。



え、珍しく無いって……。




「いや、なんかね、私のクラスにへんなヤツがいんだけど、そいつが私の隣でさぁ。先が思いやられるっていうか……」




今日なんて教科書に名前書くためにペンも貸したし。その他ハサミやのりだって……




「はぁ~」




「へぇ~。菜乃香も大変だね」



そんなことはどうでもいいように、文庫本を読みながら答える陽斗……。




「えぇ!もうちょっと心配してよー!むなしくなるじゃん」




「……はいはい、頑張ったね」




ぐはっ!……頭ポンポンなんて……かっこよすぎ!!




「そういや明日委員会でしょ?帰りどうする?」




「へ?もう一度したい?勿論!」




「何いってんの?バカだね。帰りどうすんのって聞いたの」



えっ、そうなの?恥ず!てか酷い!




「ゴッホん。……帰り?なんで?一緒に帰ればいいじゃん」




「だから、委員会なんだって。俺入ってないし……菜乃香入ってるでしょ」




あ、そっか……。




「じゃあ、一緒に帰れない?」




「……帰りたい?」




「え。ま、まぁね。か、帰り道一緒だし……!」




「じゃあいいよ。待っててあげる」



ニヤリと微笑む陽斗……。




「ほんと!?明日も、明後日も!?部活の日も?」



あ……聞きすぎちゃったかな……しつこい?







「菜乃香が帰りたいんなら。」




「やったぁ!」



今年も陽斗と毎日帰れる!毎日生きられる!





「その代わり、今度マンガ王の侵略全巻貸して」




「いいよ!なんでも貸す!」




「やった……あ、もう家だ。じゃあね」




「うん!また明日!」




あたし、浮かれすぎて無いよね?顔に出てないよね……?


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