公園で王子様を拾いました!
仕事をする前に脱力。


軽トラに掃除と道具を積み込んで、九条corporationへ向かう。


35階立てのビル。


ビル専門の清掃員がいるはずなのに、二人でこんな大きなビルの清掃は無理。


「心配はいらない、今日の清掃は最上階だからね。」


最上階は社長や会長の部屋があるんじゃないの。


それって、絶対不味いよ。


誰に見つかる可能性は大だとは思う。


「そんな顔するなよ。大丈夫だから、今日は社長も会長も留守。」


早く言ってよね。


智哉は会長と社長が留守なのを知ってる訳。


あ、秘書の砂川さんからの情報。


そのままエレベーターで35階まで行く。


清掃なんて必要ないと思うけど。


あ、これも砂川さんの入れ知恵。


彼はかなり優秀そうだし。


「面白くないな。今、砂川の事を考えただろ。」


え、どうして分かるの。


「砂川さんは優秀な秘書だと思っただけ。それより何処を掃除するの。」


「先ずは社長室からだな。」


社長室なんて、生まれて始めて入ったよ。


よく見るドラマと同じだ。


早く掃除をしようと思うと、智哉が勝手にパソコンを広げて何かをしている。


「勝手に触ったら駄目だよ。」


「大丈夫。麻都佳はその辺を適当に掃除して。」


適当にって、何よ。


仕方なく床を磨いて、テーブルの上の置物を退かして、テーブルを拭いた。


棚の上の置物を退かして拭く。


「駄目だ。ない。」


何がないの?


その時、大きな置物の下に封筒を見つけた。


中を見ると智哉が女性とキスをして、ホテルに入っていく写真。


スキャダルをでっち上げて、智哉を社長の座から引きずり下ろしたと言ったが。


これは真実じゃないの。


この写真は紛れもなく智哉。








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