公園で王子様を拾いました!
誰だったのだろう。


分からない。


その人がどんな顔をしていたのか。


10年前には色々ありすぎて、辛いことばかりだったから、自分の記憶の中から、消したんだと思う。


あの辛かった日々を早く忘れてしまいたかった。


だからなのか、10年前の事はあまり覚えていない。


「ごめんなさい。10年前の事は覚えていない。思い出したくないから。」


智哉はそれ以上何も言わなかった。


夜の海は怖くて、近づけない。


真っ黒な海に飲み込まれそう。


「このまま何処かへ行こうか。」


真っ黒な海を見ていた、智哉がつぶやいた。


「俺は社長になりたい訳ではないんだ。でも、社長にならないと大切な人が手に入らない。真也の者になってしまうんだ。」


それはどう言うこと。


社長になった人がその女性と結婚出来るとか。


なんだか、本当にめんどくさい。


この時代に、自由に結婚が出来ないだなんて。


私は大好きな人と結婚したいと思う。


まだ、そんな人には出会いってないけど。


「帰ろうか。明日も仕事があるからな。」


なんだか気持ちがはっきりしないまま、家に向かった。


こんな時間に車はあまり走っていないけど。


軽の後ろに一台の車がずっと後をつけてるように思う。


「麻都佳、しっかり捕まってろ。あの車を巻くから。」


智哉がスピードを上げた。


怖すぎる。


目が回るし。


家と反対方向へ走り続けた。


智哉は本当に狙われてるんだ。


「今日はここに泊まるぞ。」


行きなりホテル。


高級ホテルに憧れるけど、このタイミングでは泊まりたくない。


普段着だし、スッピンだし。


着替えもないのに。


「大丈夫だ、スッピンでも可愛い。」


智哉は変装したままだで、私はパーカーのフードを被っいるし。


絶対、怪しい関係だと思われてるよ。


「ご両親には電話したから、大丈夫。」


智哉、ありがとう。


部屋は一つしか取れず、同じベットで眠るしかないらしい。


あれこれ心配したけど、疲れて二人で朝までぐっすり眠ってしまった。


智哉に無理矢理起こされ、朝食を軽く食べて、今日の仕事場へ向かう。


今日はゴミ屋敷の清掃。


行きたくない。


智哉と二人で完全防着でゴミ屋敷へ向かった。


どんな仕事でも請け負いますが、うちの会社の方針。


だけど、これはヤバい。


何をどう片付けて良いのか?


近づく事も出来ない。







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