公園で王子様を拾いました!
ゴミ屋敷の中から、数人の人がでできた。


トラックにゴミを積んで行く。


それにしても大きな家、庭もかなり広い。


ゴミ屋敷と言うより、幽霊屋敷。


庭には大きな木もあるし、桜の木だろうか。


水がない、池もあって。


あれ、この家、もしかして、10年前まで住んでいた私の家?


どういうこと。


すごく懐かしい感じ。


桜の木近づこうとすると。


「何か思い出した。」


「10年前迄住んでた、私の家かもしれない。」


「そうだよ。」


どうして、智哉は私の家だった事を知ってるの。


懐かしいなぁと言って、智哉が桜の木に近づく。


春になるとたくさんの桜が咲いて本当に綺麗で、この木は私のお気に入りで、木の下でよく絵本を読んだ。


違う、読んで貰っていたが正しい。


隣にも大きな家があり、でも、今はなかった。


隣の家には優しいお兄さんがいたように思う。


幼稚園児の私と高校生のお兄さん。


顔は思い出せないけど、優しくて素敵で大好きだった。


両親が仕事でいつも家政婦のおばさんと二人で、兄弟もいないから、唯一そのお兄さんと過ごす毎日が楽しくて。

「泣かないで。」


やだ、何で涙が出るのだろ。


楽しかった想い出がたくさんあって、でも、その後はあまり思い出したくない事があったのだと思う。


靄がかかっていて、思い出せない。


すごく悲しい事があったのだ。


「無理に思い出さなくてもいいから。」


智哉は私の何を知ってるの。


近寄るのも嫌だったこの家を綺麗にしたいと思えた。


智哉は私が住んでいた家だと知っていて、ここに連れて来たのだろうと思う。


あの公園で智哉と会ったのが始めではないの事を、怖くて聞けずにいた。


もう少しこのままがいい。


自然に思い出せるその日まで。






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