公園で王子様を拾いました!
幽霊屋敷が綺麗になった。


2度とここへ来ることはないだろうと思っていたが、想い出がたくさん詰まった家を目の前にして、涙が又こぼれる。


「ありがとう。」


「何が。」


ううん、良いの。


一人言だから。


「この家が壊される前に、麻都佳に見せたかったんだ。」


こんな状態で置くことは出来ないだろう。


この家がなくなっても、想い出は残る。


この桜の木はどうするのかな。


切られてしまうかもしれない。


そうだ、確かめたいことがあった。


私は桜の木にもう一度近づいて、確かここに自分の名前とお兄さんの名前を彫ったと思う。


相合い傘の下に、ほら、あった。


そこにあった、相合い傘の下には、まどかとともやではなかったのだ。


確かここに書いたはずなのに。


智哉が近づいてきた。


「どうした。」


「ううん、何でもないよ。」


相合い傘の下の名前は、まどかとしんやだったから、真也は智哉の兄の名前。


どういうことなのだろう。


真也の事は全く記憶にはない。


隣の豪邸に住んでいたのは智哉と真也の双子で、じゃいつも絵本を読んでくれたのは、兄の真也。


智哉に確かめるのも怖いし、それが真実なら、何で智哉は私の前に現れたのだろうか。






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