公園で王子様を拾いました!
着いたのは高級ホテル、無理矢理車から下ろされて、エレベーターに乗る。


バックの中にはスマホで、智哉に連絡出来ないかと必死になっていた。


案内された部屋には砂川さんがいて迎え入れてくれる。


良かった。


あの男は誰だったの。


本当に怖かったんだから。


「手荒な真似をしてすみません。」


真也はこの部屋にいるのだろうか。


あのガタイのでかい男は、智哉のボディーガードらしい。


本当に驚いた。


「社長に何を聞きたいのですか。」


今は真也が社長だったことを忘れていた。


10年前の話を聞きたいと思いながらも、真也は智哉の事を良く思っていないので、私に話すだろうかと不安になる。


「真也は私と会ってくれるのですか。智哉には真也に会うことは話してありません。」


「その方が良いと思いますよ。二人は本当は仲の良い兄弟ですからね。」


そうなんだ。


真也が智哉を嫌っているのだと思っていた。


砂川さんの話だと、真也に付いてる秘書が智哉でなく、真也を社長にしたくて必死なのだと言う。


兄弟で社長の座を争うだなんて、止めてほしい。


「社長がお見になりました。」


無理向くと、智哉にそっくりな真也がいた。


左目の下にほくろがあるから、間違いなく真也だ。


「久しぶりだな。元気にしてたか。」


声まで智哉とそっくり。


「麻都佳が俺に会いたいだなんて、嬉しかったよ。麻都佳がこんなに綺麗になったことに驚いてる。」


綺麗かは定かではないけど。


勇気を出して聞くことにした。


「私と真也と智哉は家が隣で、幼い頃から一緒に遊んでいたんですよね。私が幼稚園の頃に絵本を読んでくれたのは真也なの。」


「違うよ。あれは智哉。」


やっぱり智哉だったんだ。


「智哉が麻都佳を一人占めしてた。俺が麻都佳に近づくと嫌がらせをして、今もそれは変わらない。」


どうして、お互い話合えば解決する問題をこんなにこじらせているのだろうか。


「真也はどうしても社長になりたくて、智哉のスキャンダルをでっち上げたのと聞いたけど。」


あれは秘書が勝手にやった事らしい。


でも、今は社長に本気でなりたいと思っていると言った。


その理由を聞いても話してはくれない。


その内わかるからと言う。


それともう一つ確認したいことがあった。


智哉と片付けた元私が住んでいたあの家の事。


片付けを依頼したのは真也ではないようだ。


あの桜の木は事も真也は覚えてないと言うけど、じゃ、誰が相合い傘の下に、真也と書いたのだろうか。




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