公園で王子様を拾いました!
あの幽霊屋敷の掃除を依頼したのはもしかして、智哉なのか?


真也ではない。


真也の秘書の小澤さん。


嫌、違うと思う。


考えれば考えるほど、謎が多過ぎる。


こんなことより、今日の仕事を頑張るしかない。


今の私には与えられた仕事を頑張ることしか出来ないのだから。


引っ越し荷物を車に運ぶ仕事は本当にきつかった。


エレベーターがないので、階段で運ぶしかない。


荷物を運び終えると部屋の掃除。


いならい物の片付けまで。


智哉は決してサボろうとしない。


休憩したいのに。


智哉は社長の仕事よりもこの仕事の方が向いてるんじゃないだろうか。


残った物を片付けて今日の仕事は終わり。


智哉がたくさん動いてくれたから、早めに終われた。


会社に戻る前に寄りたい所があると智哉が言うので、一緒に行くと、あの幽霊屋敷。


綺麗に片付いていて、幽霊屋敷ではなくなっている。


「やっぱりこの家の片付けを依頼したのは智哉なんだね。」


智哉が頷く。


「ここは麻都佳と俺の想い出の場所だから、あのままにして起きたくなかった。」


だけど、あの桜の木に書かれていたのが自分でなかったことには、ショックを受けたと言う。


だって、まだ小学生だったし、双子の区別が出来なくても仕方ないと思うけど。


智哉もその事はさほど気にしてないと言った。


「でも、あの約束まで忘れてる事にはかなりのショックを受けた。」


あの約束とは。


私たちは何を約束したの。


「私と智哉が約束をしたんだよね。」


「麻都佳さんそれは違います。」


そこに年配の男性が現れた。


「小澤。」


真也の秘書の小澤さん。


違うとはどう言うこと?


「麻都佳さんがここを離れて行くとき、そこには真也様もおりました。」


真也もいた。


「小澤は関係ないだろ。帰れよ!」


「いえ、智哉様が真也社長と麻都佳さんを奪い合うことを止めれば良いだけです。社長は真也様がなるべきなんですから。」


智哉と真也が私を奪い合うとは?


私が二人に何か約束をしたのだろうか。


嫌々、小学生の私が20才の男性相手に何を約束したと言うの。


「私は真也様が社長になることだけを信じて、お守してきたのですから。智哉様が身を引かないなら、私にも考えがあります。」


智哉と真也は双子の兄弟。


どうして、小澤さんは真也を社長にしたがるの。


小澤さんは真也の秘書と言う立場な訳で、そこまで拘る理由が分からない。


小澤さんは、智哉に社長が勤まるとはどうしても思えないと言った。





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