公園で王子様を拾いました!
両親には智哉が連絡をしてあるから、心配しなくても良いと言う。


いつまで、身を画していれば良いのだろ。


「一週間後には、真也と麻都佳の婚約発表がされるはず、それまではここにいるしかない。」


一週間も。


智哉には考えがあって、そんなにはかからないかも知れないと言う。


今は砂川さんが証拠を集めているらしい。


私は真也と結婚するつもりはないのに、勝手にそんな事ができるのだろうか。


智哉が話したくなかったがと言って話してくれた。


10年前に父さんの会社が倒産して、その借金を当時の九条corporationの社長、つまり智哉の父親が肩代わりする条件に、真也か智哉の嫁に麻都佳を貰いたいと言ったと言う。


はぁ、何、私の気持ちも考えずに、父さんは良いと返事をしたの。


信じられない。


父さんに抗議してやる。


智哉に落ち着けと言われた。


「麻都佳の父親はその話を本気にしてなかったらしい。うちの父親が勝手に決めた事だと思ってたと言ってた。」


父さんからそんな話を一度も聞いたことがない。


どうして、智哉の父親は本気で私を嫁にしたいと思ってるのだろ。


「麻都佳の母親が父親の初恋の人で、叶わなかった初恋を息子に託そうとしてるのかな。」


叶わなかった自分の初恋。


息子に託す。


それは智哉の父親の勝手な思い込みで、誰も幸せになんかなれない。


「俺は麻都佳と結婚したい。」


ありがとうって、言いそうになったけど。


まだ、駄目。


たくさんの事をクリアにして、真実をねじ曲げようとしてる人たちを正さないと。


その為に何をすれば良いのだろうか。





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