公園で王子様を拾いました!
母さんにお弁当の風呂敷を返して、今日は出かけるから夕食はいらないと伝え、軽トラを車庫に停めて、隠れていた汚い男を連れて階段を上る。


エレベーターもあるが、エレベーターを使うと誰に見られるか分からない。


私が先に階段を上ると、男は大人しくついてきた。


本当は入れたくない。


なんか匂うし。


仕方ない、諦めよう。


ここまで来たからには、覚悟を決めた。


鍵を空けて男を中に入れる事に成功。


多分、誰にも見られてないはず。


先ずは男にシャワーを浴びるように言うと、生意気に風呂が言いと言い出した。


仕方なく風呂の準備をするあいだ、汚い服を脱ぐように言うと、その場で抜き出す。


待て、待つのだ、男。


「俺の名前は九条智哉、30才。一応会社社長。」


会社社長?


嘘だ。


嘘に決まってる。


会社の社長がどうして公園で寝てたの?


絶対、浮浪者なのに。


「ほら、名刺があるぞ。」


汚い男が名刺を見せた。


何故か、名刺も汚いし。


九条corporation、社長、九条智哉。


確かにそう書いてあるが、この男がその会社の社長なのかは、定かではない。


「訳あって身をかくしてるんだよ。しばらくここに置いてほしい。悪いようにはしないから。」


訳あってって、何。


命を狙われてるとか?


財産争い。


犯罪絡み。


どれも当てはまりそうだ。


お風呂に入ったら出て行ってもらおう。


そう思ったのに。


男は風呂から出で来るとバスタオルを腰に巻いたまま、何処かへ電話をしていた。


風呂から出ても着る服がない。


そして、しばらくすると部屋にスーツケースを持った男が尋ねて来る。


かなりのイケメンは九条智哉の秘書だと言う。


九条corporationの社長は本当だったのか。


まだ、信用出来ないが、風呂上がりの九条智哉は秘書を越えるイケメンで、声も出ない。


真っ黒の顔が綺麗になり、秘書から渡された服に着替えた、九条智哉は本物の王子様だった。


私は浮浪者じゃなく、王子様を拾った訳ですか?


何で、疑問系?


だって、こんな事って実際にあるのだろうか。


思いきり頬をつねってみた。


痛いから、夢じゃないみたいです。





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