公園で王子様を拾いました!
薄れてしまった記憶の中で、私が咲希を傷つけるような事をしたのなら、咲希が私を恨む理由もわかる。


思い出したいけど思い出すのが怖かった。


智哉は全てを知ってるの。


10年前のあの日。


海が見えるレストランで。


私は智哉に何かをプレゼントされた。


それは何処にあるの。


キラキラ光る指輪?


ネックレス?


智哉にもう会えないと私が声をあげて泣くと、智哉が約束してくれたんだ。


その前に私が智哉にお願いした。


智哉に聞かなきゃ。


「智哉。」


「どうした、俺はここにいるよ。」


「思い出したの。あの日の事を。」


落ち着いてと言われたけど、落ち着いてなんかいられない。

あの日私は智哉にプロポーズしたのだから。


10才の私が20才の智哉に結婚して下さいと。


「そうだよ。麻都佳に逆プロポーズされて焦ったよ。だから、10年後僕からプロポーズさせてねとお願いしたんだ。」


そして、その約束の証として、指輪をプレゼントしてくれた。


指輪はしていれないから、チェーンに通してつけていたけど、今はない。


誰かに盗まれた。


盗んだのは、咲希。


どうして、こんな大切な事を忘れてしまったのだろ。




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