彼女の恋人は彼女
東京駅で京葉線に乗り換える時も千夏は黙ってついてきた。
ユカは最寄駅の海浜幕張駅に着いた頃にユカはレポートの資料を図書館に取りに行かなければならない事を思い出した。

ユカは改札を出ずに千夏に尋ねた。
「これからどうする？」
千夏はただ黙ってじっと見つめるだけで答えなかった。
「自分、課題のレポートの資料図書館で借りてこなきゃならないんだけど、借りたりレポートは後でやるから、今日これから遊ぶか？」
千夏はしばらく黙っていたが首を振って言った。
「あたし帰るね」
「そっかぁ、じゃあメールするよ」
そう言って改札を出ようとすると千夏がユカの服を引っ張った。
「…」
「じゃあ、やっぱり遊ぼうよ」
千夏は答えずに手を握ってユカをじっと見つめた。
改札付近で15分くらいお互い見つめ合ったままでいた。
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表紙・目次

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