冷愛冷涙-Reiai Reirui-
冷が私をまっすぐ見つめる。


「何もないよ。ただ会いたくないだけ」


冷の目を見れなくて、視線を反らして話したのに、冷は私と目を合わそうとする。


「この家に住んでる限り、俺に隠し事はするな」


「してない」


冷に嘘をつき続けるのは無理かもしれない……。


勘が鋭い。


「……あっそ」


この〝あっそ〟は、不機嫌になったときの〝あっそ〟。


「…今日の晩ご飯、何がいい?」


「いらねぇ。倖と食べるから」


倖さんと……?


ズキ…ズキ…


この痛みは何…?


「……そ…っか…」


思いの外、弱々しい声が出た。
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