冷愛冷涙-Reiai Reirui-
「………起きてたのかよ」


「……うん」


あんだけ大きな音たてたら起きるに決まってるじゃん、という突っ込みも言えなかった。


喉で言葉が引っ掛かってる。


お水を飲んだからといって、言葉のつっかえが取れるわけじゃないのに、お水をゴクゴクと飲む。


「俺も水」


冷が手を伸ばしてお水を要求する。


「あ…うん……」


まだ暗い家。


お水を注ぐ音だけが聞こえる空間。


「……はい、お水…」


お水を注いだコップを冷に渡す。


「………」


〝倖さんといたの?〟


そう聞きたかったけど、絶対聞けなかった。


触れない方がいい気がした。
< 149 / 672 >

この作品をシェア

pagetop